トンカットアリとはテストステロンの素DHEAの分泌を高める有効な成分が多数含まれている自然草

LOH症候群改善効果が確かめられ研究が進む

複合サプリの成分の1つであるトンカットアリは、マレー半島に自生する天然草である。古くから滋養強壮、体力向上、性機能向上など男性の性的能力を高める事で知られる植物成分である。いうまでもなく昆虫のアリの方ではない。

マレーシアだけでなくベトナム、フィリピン、インドネシア、タイ等の地域では、マラリア対策や腫瘍、疲労、神経症等の効果があるとして民間医療に広く使われてきたという歴史がある。

男性だけでなく女性の性的能力も高めるとして、近年は科学的な研究分析や動物、人間に対する治験も多く行われるようになった。ヒト(男性)に対する臨床試験で、テストステロンの分泌増大とテストステロン減少により様々な症状が起こるLOH症候群の改善が認められている。

結論を先に述べると、トンカットアリにはわずかな量で生き物の生理や行動に何らかの特有な作用を示し、身体の働きを調節する役割をもった物質である生理活性物質が多数含まれているが、特に興味深いのは天然のDHEA(性ホルモン前駆物質)の生産を促すユーリペプチドだろう。

ユーリペプチドは性ホルモン低下による様々な疾患や健康問題の改善が期待でき、アンチエイジング効果もある。効能として感染症から精神疾患、腫瘍、疲労等、一見バラバラの病気や問題を改善するのは、性ホルモンの回復によるものと考えれば不自然さはない。そしてその効果は男女問わない共通だ。

トンカットアリ

自国産の薬効植物の価値に着目したマレーシア政府は、2000年、マレーシア森林研究所プログラムを通して、マサチューセッツ工科大学(MIT)と初のパートナーシップを結び、トンカットアリの研究を開始した。この臨床試験を基に、2006年にアメリカで特許取得、2007年にはEUでも特許を取得している。

生薬としてのトンカットアリは、朝鮮人参や田七人参、西洋人参等と同じ多年草である薬用人参の一種である。薬用人参はジンセノサイドと呼ばれるサポニンが多い事が共通項だが、その種類は膨大であり、効能も多彩であり、これからの研究如何によっては新たな薬剤が開発される可能性もある。

熱帯雨林に自生するマレーシアの伝承薬

トンカットアリがどんな植物なのか説明しよう。

まずこの植物はマレーシアのあるマレー半島、インドシナ半島、スマトラ島、ボルネオ島等の熱帯雨林に自生するニガキ科の大木で、その根っこが伝承薬として古くから利用されてきた。成長が遅く栽培も難しいので、現在のところ薬用としての利用は天然野生のもののみと言われているが、品種改良は今も続けられており、いずれは人工栽培も可能になると言われている。

トンカットアリという奇妙な名称は、働きアリや女王アリから採取したエキスであると思っている人も多いが昆虫の蟻とはまったくの無関係である。「古代イスラムの勇者アリ(Ali)の杖」という意味なのだそうだ。そういえば亡くなったアメリカのヘビー級ボクサーのモハメド・アリ(本名カシアス・マーセラス・クレイ・ジュニア)も改宗してイスラム教徒だった。

トンカットアリそのものは非常に苦く食用には適さないが、マレーシアにはこの成分を含有したジュースやコーヒーが栄養ドリンクとして売られている。またこの苦み成分こそ高い薬効を持っている。

薬用成分はグリコサポニン、ユーリペプチド、アルカロイド、カッシノイド、ステロール、テルペノイド等で、いかにも薬用人参らしい成分だ。

テストステロンの素であるDHEA(デヒドロエピアンドロステロン)の産生を促進

トンカットアリに含まれるもののうち、最も注目すべきなのはユーリペプチドと言われる生理活性物質だろう。このペプチドは体内である種の酵素を活性化させ、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)をたくさん産生させる。他にもプロゲステロン、アンドロステジオン等の産生を促進させる(これらは性ホルモンの仲間)。

DHEAがアンドロステジオンを経てテストステロンに変わる経路はわかっており、これまでの研究で、ユーリペプチドがテストステロンの増加を促進する事が確認されている。

DHEAはテストステロン(男性ホルモン)だけでなく、エストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモン系を含む多様なものの素になるため、マザーホルモンとも呼ばれている。欧米を中心に注目度も人気も高い。

DHEAはヒトの体内では主に副腎皮質から分泌されている。副腎皮質とは、2つある腎臓の上に、それぞれちょこんと載っている副腎の皮状の臓器だ。重さ5gくらいの小さな臓器のさらに皮部分なので量的には本当にわずかだが、コルチゾールやDHEAなど重要なホルモンを分泌する重要な臓器である。

そのDHEAはテストステロンやエストロゲン等のホルモンになるだけでなく、そのもの自体が様々な働きを持っており、特に高い抗酸化作用が注目された。

抗酸化作用といえばアンチエイジングである。特にこの物質は脂質の酸化を抑制する事から、紫外線から肌を守り、皮膚の細胞の再生を促す等、美肌効果、美容効果が期待されている。

加齢と共に減少するDHEAを補う

DHEAの働きを簡単に説明すると、まずテストステロン等の性ホルモンの材料になる事が挙げられる。女性ホルモンも同様である。

他には前述の抗酸化作用。脂質の分解を促進し、血管に付着したコレステロールを分解して動脈硬化を防ぐ。ひいては脳血管障害や心疾患障害など命に関わる病気を予防する。同様に血管や血液の酸化を防いで脂質異常症や糖尿病を予防改善する。また免疫細胞を強化して免疫力を高める。さらに記憶力の維持や骨密度の維持など縦横無尽の働きをしていると考えられるのだ。

しかしそんなDHEAも、残念ながら加齢と共に分泌量が減ってくる。女性は20代半ばから、男性は30代後半から減少していくと考えられている。すると男性の場合、必然的にテストステロン生成も減少し、男性更年期障害、LOH症候群になりやすくなるわけだ。

男性更年期障害、LOH症候群の症状はうつや不眠、疲労、イライラ、性的機能の低下、筋肉量の減少など様々な症状が現れる。これらはテストステロンの減少が原因と考えられているが、遡るとDHEAの減少も大きな原因の1つだと言えるだろう。

そこでトンカットアリのような物質で減少しつつあるDHEAの分泌を促す事ができれば、テストステロンも増加し、様々な症状を抑える事ができるはずだ。

ストレスホルモンから体を守る

DHEAの働きをもう1つつけ加えよう。

DHEAは副腎皮質から分泌されているが、同じ臓器から分泌されている物質にコルチゾールというホルモンがある。よく知られたストレスホルモンである。

コルチゾール

コルチゾールは、我々が強いストレスにさらされると分泌されるので、困ったホルモン、迷惑なホルモンだと思っている人が少なくない。すなわち、血中コルチゾールが高いと良くないと思われている。このあたり世間一般に誤解が多い。

しかしコルチゾール本来の働きはストレスから体を守る働きをしている。ストレスに加担して炎症をまき散らす悪玉ホルモンではなく、反対にストレスから我々を守るべく闘ってくれている善玉ホルモンなのである。

日々過労が続き、睡眠を取っても疲労がたまり、強いストレスが長く続くと、これに対抗するため副腎皮質からコルチゾールが分泌される。強いストレスが続けばコルチゾールは大量に分泌され続ける。これが続くとコルチゾールの供給が消費に追いつかなくなる。そうなるとストレスから身を守るものがなくなり、強い疲労感や惓怠感、うつ症状などが亢進してしまう。その時のコルチゾール値は異常低値を示すのだ。

コルチゾールの多量の分泌は他にも悩ましい問題がある。コルチゾールには、交感神経を刺激して血圧や血糖値を上げる作用があるので、高血圧や糖尿病の発症を誘発する可能性がある。また、活性酸素を産生するため、体の酸化、つまり老化の原因となってしまう。

こうしたコルチゾールの負の作用をくい止めるのが、同じ副腎皮質をもとにするDHEAである。DHEAとコルチゾールはストレスに対して同時に分泌され、コルチゾールによる過剰な活性酸素の放出をDHEAが抑制している。DHEAが不足すると、ストレスに対するDHEAの直接効果が減少するだけでなく、コルチゾールの負の作用が出てくるようになる。

そのようにDHEAが不足する場合は、外からDHEAを補うという方法が考えられるが、サプリメントとしてのDHEAに関しては、私は少々懐疑的である。ストレス下においては、DHEAを含め様々な物質が不足している状態が予想される。その場合、DHEAだけを一点豪華主義的に補充するよりも、DHEAを含む様々な周辺物質の分泌を促す化学的なものより生薬系のものの方が安全性も高く、働きも自然であるはずだ。ケミカルなものに対して天然のものは安全性が高い反面、効果が弱いと考えている人も多いがそれは誤りだ。上手に摂取することにより、化学物質が効かなかった人でも効果がすぐに現れることがある。まずは天然成分主体のものを試し、そのうえで状況や症状の進行具合によって適宜化学系を試すことをお勧めする。

90%以上のLOH症候群患者がテストステロン正常値に

臨床試験によるテストステロン増加を確認

トンカットアリの働きの中で、最も注目されているのはやはりテストステロンの増加である。昔から滋養強壮剤、精力増強剤として知られてきた植物だが、今日では科学的な研究分析が進み、薬効の秘密が次第に解き明かされつつある。

まずここではトンカットアリが、男性のテストステロンを増加させるかどうかという基本的な臨床試験をご紹介しよう。

まずマレーシアでLOH症候群の患者76人(マレー系64人、インド系9人、中国系3人)を対象に、トンカットアリの水溶性エキス1日200mgを4週間にわたって投与し、テストステロン値の変化を調べた臨床試験だ。治験実施は2011年。

投与前の患者のテストステロン濃度の平均値は5.99nmol/l以下、正常値は6.00〜30.0nmol/lなので低値である。

4週間後、患者のテストステロン濃度は高まり、平均値は正常の範囲内にある。正常になったのは76人中69人と90.8%になり、ほとんどの患者が正常値になった事がわかる。

70%以上の患者のLOH症候群の自覚症状が消失

同じ臨床試験で、参加した患者76人のLOH症候群の自覚症状がどのように変わったかがAMSスコアで調べられている。これは患者が、心身にどのような症状を抱えているかを知るための調査である。

こちらはテストステロンと逆で、低下していれば改善を意味している。

トンカットアリエキスを投与して4週間後、多くの患者さんの自覚症状が改善している事がわかる。具体的には参加者76人のうち、投与前は43名(56.8%)が中から重度の不調を感じていた。投与後は76人のうち54人が「不調がなくなった」としており、70.3%が全面的に回復している事がわかる。

EDの改善をヒトでの臨床試験で確認

男性更年期障害の症状の1つである性的能力の低下に対しても、トンカットアリは有効であることが動物実験とヒトでの臨床試験で確かめられている。実際の研究や試験の詳細は省かせて頂くが、次のようなヒトを対象とした臨床試験がある事を概略で紹介しておこう。

マサチューセッツ工科大学(MIT)とマレーシア政府との間で実施された2006年の共同研究では、テストステロン値と精子運動能を改善するトンカットアリ根水抽出物由来のペプチドが実際に発見された。

これらはさらにマウスでの安全性を確認後、ヒトでの治験で確認され、精液量、精子濃度・運動能および正常精子の割合の増加が認められた。

勃起機能の改善も認められている。

軽度の勃起不全を認める30歳から58歳までの男性を対象に行った12週間の臨床試験で、性欲性的満足度性交頻度および勃起硬度の上昇が確認されている。

実際に、勃起硬度スケール(ErectionHardnessScale)、男性の性の健康に関する調査(SexualHealthInventoryforMales)、およびAMSスコア(AgeingMales-SymptomScore)の改善が認められている。

これらの作用は本質的に、テストステロン値の改善とテストステロン産生を刺激するトンカットアリ根抽出物の能力に起因している。

筋肉増強作用をプラセボ(偽薬)との比較で証明

男性ホルモン・テストステロンには、筋肉を増強し、肥満を防ぐ働きがある。中高年になって内臓にも皮下にも脂肪がつき、メタボリックシンドロームになりやすくなるのは単に食べ過ぎ、運動不足ということではなく、テストステロンが減少する事にも起因する。

トンカットアリはテストステロンの分泌を高める事で、筋肉を増やし脂肪を減少させる事が臨床試験で確かめられている。概要は次の通り。

Dr.Sareenaらマレーシア大学スポーツ科学部は、2000年に次のような試験を行った。26歳から32歳までの14人の男性を7人ずつ2つのグループに分け、一方にはトンカットアリ水溶性パウダーを毎日100mg摂取させ、一方は薬理効果のない偽薬(プラセボ)を摂取させ、8週間の集中的トレーニングを行った。

8週間後、全員の皮下脂肪、上腕周長、上肢の筋力、二頭筋のEMG(筋電図検査)を行った結果、トンカットアリを摂取したグループは、除脂肪体重が増大、体脂肪率が減少、上腕周長が増大、筋電図による数値も増大していた。

偽薬グループは、体脂肪率がわずかに減少、筋力もわずかに上昇していたが、他にはほとんど変化がなかった。

この治験からトンカットアリは、筋肉を増やし、体脂肪を減らし、筋力や筋肉の神経伝達能力を高める事が認められた。将来はダイエット薬や合法的な筋力増強薬として開発が進むかもしれない。

骨粗鬆症予防、疲労回復、血糖降下作用などを確認

男性更年期障害、LOH症候群では、テストステロン減少による骨量の減少、骨粗鬆症の発症が起こる事がある。若いときは骨折などしたことなかった人がちょっと躓いただけで骨折してしまうことはテストステロン減少が影響していることが多い。これに対してもトンカットアリは、骨カルシウム喪失防止、骨芽細胞の増殖等を促し、骨粗鬆症の予防や進行を抑止する可能性が示唆されている。

他にもヒトに対するストレス軽減作用、スポーツ選手を対象にした運動負荷試験による疲労回復作用、マウスを使った動物実験で血糖降下作用など様々な働きが確認されている。

副作用の少ない男性更年期障害、LOH症候群の改善

トンカットアリの生産地の研究者たちは、この物質の持つ多彩な効果を解き明かし、男性更年期障害、LOH症候群への治療の優位性を述べている。それはホルモン補充療法よりはるかに安全で効果的だというものだ。

確かにホルモン補充療法には、多血症や睡眠時無呼吸症候群の悪化等のリスクがあり、高い効果が期待せれる一方どんな人にでも安全で有効だとは言い難い。もちろん事前、あるいは治療途中の健康チェックでそうしたリスクはほぼ回避されているが、それでも100%とはいえず、体の不調を訴える人が相当程度存在するのは事実だ。

医師との問診を行った上でのホルモン補充療法は有効であるし、安全性も高いと考えているが、より高い安全性を求めるのであれば東洋医学を含めてこうした自然の生薬、サプリメントも非常に魅力的だし有用だと思っている。

そして実際に治療を受ける人はまずは天然成分で試して欲しい。そのうえで改善効果が見込めなければ科学的な手法であるホルモン補充療法を試せばより安心安全であろう。

また男性更年期障害、症候群の予備軍、病院で治療を受けるほどではない人、それと思しい症状を抱えている人には、サプリメントも有効だ。最近はここで紹介している複合型サプリメントのように、単一成分ではない、いくつかの素材を組み合わせた、まるで漢方薬のような複合サプリメントも多数登場しているので自分に合ったものを探して利用してみるのもいい方法である。




サイト制作者紹介

都内在住のフリー医療ジャーナリスト
関西にある某大学薬学部卒
バツイチ 46歳
普段は週刊誌向けの記事やネット向けの記事を書く。身の回りに更年期障害に悩む人が多く、今回サイトの制作に携わる。
趣味は旧所巡り。

もしかしたら更年期障害かも

どうしてもの場合はED治療薬に頼るのも一法です




ページ上部へ戻る